私は家づくりに携わりながら、さまざまな想いにとらわれてきました。
「家」、「住まい」とはいったい、どういうことなのでしょうか? 機能性を主張して、多種多様な住宅が建築されています。
しかしはたして、機能性で語ることのできるものなのでしょうか?
まるで家は「住まいとして提供された場所」であり、「器」でしか存在していないかのようです。家は建物というモノなのでしょうか?
住まいを人と人とが住まう「住まい」として見直すときが来ています。
古民家はただ古い家として存在する建物、モノではありません。
人が住まい続けてきた有り様が生きている、そこで確かに人が住まいつづけてきた日常が生きています。
また、古民家に確かにあるものには、伝統として連綿と受け継がれてきた職人の技もあります。
形あるもの、性能だけが家にあるのではありません。
ほんとうの住まいがあります。
古民家の住まいには、「住まい」を見直す原点があります。日本が失ってしまったほんとうの住まいを見つけるために、このネットワークに参加した、と言っては言い
過ぎなのかもしれません。
しかし、建築に携わる意味をあらためて考えていきたい、想いでいることには間違いありません。
日本の住まいのために、そして、未来の子どもたちのために、わずかながらでも尽力したい、という想いでいます。
一般社団法人古民家再生協会大阪 代表理事
長井 正広